靖国神社への公式参拝の是非を問い、靖国問題を通して現代人に贈る愛と幸福論
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本当の心のケアは民族の癒し‥
アイデンティティー
「靖国」というタイトル
ルーツ
戦 争
本当の心のケアは民族の癒し抜きには考えられない

私たちの心はより肉体的な部分と、よりスピリチュアルな部分とによって、構成されています。
肉体的な部分というのは血筋、性別、民族などからくる気質で、確かに私たちの心の中には、そうした面のあることを否定することは出来ません。それに対してスピリチュアルな部分というのは、そうしたものに囚われない意識のことです。
したがって私たちが心のケアをしたり、心の教育をする際には、この両面を見据えたケアや教育がなされなければなりません。ところが今日の学校で行われているものは、そうした肉体的な部分が欠落した、空洞化してしまった心の教育だといえます。
「この国を愛するために 靖国」はそうした否定することの出来ない、潜在的な民族性からくる心のケアを扱った内容なのです。


アイデンティティー

自衛隊の海外派遣および復興支援問題。憲法改正問題。首相の靖国参拝問題。
一方でアテネ五輪でのメダルラッシュや、大リーグのイチロー選手を筆頭に、海外で活躍するスポーツ選手や、益々海外に進出する日本人。
戦後60年を迎え、新世代日本人はいよいよ自らのアイデンティティーをしっかりと確立して、こうした問題をどう意識し、どう対処すべきかが迫られています。

60年とは人間でいえば還暦、すなわち新しく生まれ変わって、やり直す大きな転換期です。
そうしたタイミングの年にこの国の人々が、今後の自分たちはどう考え、どうあるべきかの指針にしていただきたく、本書を刊行いたしました。
そして、同時に敗戦によって深く傷ついた日本人の心を、その潜在的なトラウマから解放したいのです。


靖国」というタイトル

私が本書のタイトルを「靖国」としたのは、単に靖国神社を指してのものではありません。確かに本書は靖国神社を中心に、当時の時代背景や今日の問題を取り上げてはいますが、靖国という言葉の由来そのものを、根底のテーマとしたかったのです。つまり、国やこの国に生きる人々が、安らかで穏やかにいつまでも平和でいられるにはどうしたら良いのかということです。そして、その願いの下に、靖国神社は明治天皇によって命名されました。

間違った愛国心は国を滅ぼします。
しかし、持つべき愛国心まで失っても、やはり国は滅びてしまいます。
そして、その結果は個の幸せをも奪ってしまうのです。

私たちが幸せになるためには、まず自分をきちんと愛さなければなりません。
しかし、自分を愛するためにも、自分の拠って立つところの、国を疎かにしていたのではそれは叶いません。
だから、自分が幸せになるためにも、この国をきちんと愛さなければならないのです。

ところが戦後、私たちは国の愛し方が分からなくなってしまいました。
あたかも命がけの恋愛をした者が、その思いを遂げられずに終わった結果、そこから立ち直れずに、再び人を愛することが出来なくなってしまうようにです。

しかし、自分の拠って立つところを愛せなくなった者が究極に陥るのは自己喪失です。戦後の日本人がどうしてこれほどまでに、自分を見失い、自殺者も年々増加し、生き甲斐を失い、精神的に病んでしまったのでしょうか。
それは間違いなく自国を愛せなくなってしまったことと深く関わっているのです。


ルーツ

今から30年ほど昔に「ルーツ」というアメリカのTVドラマが世界的に大ヒットしました。
それまでルーツという言葉も日本では一般的ではなく、このドラマをきっかけにカタカナ言葉として日本でも定着したのです。

この作品の原作はあるアメリカの黒人作家が自分の家系をさかのぼって書き上げたノンフィクション小説です。
主人公クンタ・キンテはアフリカのある優秀な部族の青年でした。
それがある日突然、白人によってまるで動物を捕獲するようにして捕まり、鎖につながれたまま奴隷船に乗せられてアメリカに連れて来られたのです。彼の人生はここで一変します。

名前をアメリカ名に強制的に変えさせられ、奴隷としての身分を徹底的にたたき込まれます。
そしてある日彼は脱走をして捕まり、罰として斧で足を切り落とすか、それとも性器を切り落とすかと白人に迫られて、彼は子孫を絶やさないために足を切り落とすことを選択します。

物語はこの後何代にも渡り、自分の主人にレイプされて白人の子を身籠もった先祖、
奴隷制度がなくなった後も白人に家を焼き討ちにされて迫害を受けた先祖、
そしてその迫害の中で自らの才能と努力によって富を得た先祖、
そして最後に作者の代で終わるというものでした。

私も幼少時をアメリカで過ごしたため、こうした黒人の差別問題を子供ながらに知る機会を与えられました。
それは私が小学生だった頃の出来事です。
当時私は両親と共に団地で暮らしていました。
そしてある日、100世帯ほどのその団地にある黒人家族が越してきました。
父親が弁護士の家族でしたからいわゆる中流以上の家族です。
しかしその団地では初めての黒人家族だったために、団地中が大騒ぎになったことを今でも覚えています。それは今からたった30年前の出来事です。

ではなぜこのドラマ「ルーツ」がそれほどまでに世界的に大ヒットしたのでしょうか。
奴隷制度がなくなったとはいえ、当時の黒人たちは自分たちは奴隷の子孫なのだという強いコンプレックスを持っていました。そしてそれは深い心の傷となって残っていたのです。

それがあのドラマによって、奴隷として生きてきた先祖達の心情に触れ、またそれ以上に自分たちは決して奴隷の子孫などではなく、自分たちのルーツを遡れば、他に勝るとも劣らない民族の子孫だということに気づいたのです。そして多くのアメリカ黒人たちはこのドラマによって、奴隷の子孫という深いコンプレックスから解放されて、自分たちのアイデンティティーを取り戻すことが出来たのです。

日本人もまたあの大戦で負った傷は、戦後60年が過ぎた今でも癒されてはいません。
そしてちょうどあの黒人たちが、自分たちは奴隷の子孫なのだと思いこんでしまったのと同じように、日本人もまた自分たちは軍国主義にはしった民族、侵略戦争を行った民族の子孫なのだという、自分たちの歴史がまるでそこから始まったかのように、深い戦争の後遺症を負ってしまったのです。

だから、私たち日本人が本当の意味であの敗戦の後遺症から立ち直るためには、まず大戦当時の人々の心情に良く触れなければなりません。そして学校の授業で教えるような、単に知識としての歴史、あるいは他人事としての歴史ではなくて、自らのルーツである遠い先祖たちにつながれるような歴史を学び、そして日本人としての誇りを再び取り戻さなければならないのです。


戦 争

イラクのフセイン大統領は、非人道的な独裁政治を行い、彼を恨むイラク人も少なくないといいます。
そして、そのフセイン政権を打倒してイラク人を解放するために、今回の戦争があるのだとアメリカは主張しています。

しかし、その結果は、イラク人が向けるその恨みをフセインという個人に対するものから、すべてのアメリカ人に対する恨みへと、深化させてしまうこととなりました。

個人に対する恨みなら、いずれ時の流れが解決してくれるでしょう。
しかし、民族や国家に対する恨みは、次世代へと受け継がれ、それを解くことはより困難になります。

そして、何代にも渡り、戦争は勝敗どちらの側にも、深い傷を残すこととなるのです。


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