外宮は監督、内宮は主演俳優(スター選手)

伊勢神宮は内宮と外宮に分かれています。
そして、内宮では日本の神々の最高位にある天照大神、外宮ではその御饌(みけ)の神である豊受大神が祀られています。御饌の神とは今風に言えば、天照大神専任のコック、あるいは食事係です。

ところが神々の最高位とコックとでは、立場的に全く比較にならないはずです。
それなのに伊勢神宮の正式な参拝の仕方は、コックが祀られている外宮が先で、最高神が祀られている内宮は後なのです。

日本の各地方には古くから一宮(いちのみや)に指定されている神社があります。
それはその昔、朝廷から役人が派遣された時に、その役人はまずその地方の神々に挨拶回りをしました。その際にその地方で最も有力な神社の神から順番に参詣し、それを一宮というからです。それほどに昔から人々は大切な神社からまず参るのが常道なのです。

それではなぜ伊勢神宮の場合には外宮から参るのが正式なのでしょうか。
実は豊受大神が御饌の神であるというのは表向きの話で、本当はそうではないというのが、代々外宮の神官を務めていた渡会家によって創設された伊勢神道の説です。
そして、豊受大神の真の姿は、天御中主尊という天地創造の神だというのです。
つまり、キリスト教的にいえば、天にまします我らが父よ、あるいはイスラム教的にいえば、アラーの神という、人間はもちろんこの宇宙そのものを創造した万物創造の始源神です。そう考えたなら外宮を先に参ることも当然のことでしょう。

ところがそれではなぜ位の高いはずの外宮の神よりも、内宮の方が規模も大きく、メインの扱いなのでしょうか。それを理解するにはちょうど映画監督と主演俳優、あるいはスポーツの監督とスター選手の立場を思い浮かべれば分かりやすいでしょう。
映画の華は主演俳優です。しかし、映画の制作者の立場にあるのは監督です。
また野球やサッカーでもスター選手がチームの華ですが、采配を振るうのは監督です。
キリスト教もイスラム教も立場的には天地創造の神が上ではあっても、メインに祀られるのはイエスであり、マホメットであるように、伊勢神宮の場合でもそれに変わりはなく、天照大神がやはりメインなのです。

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